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施設基準の届出

 

施設基準とは、保険診療の一部について、医療機関の機能・設備・診療体制などを評価するための基準です。

 

保険診療診療報酬は、基本診療料と特掲診療料で成り立っています。

 

基本診療料とは、初診料、再診料、外来診療料、入院基本料、入院基本料等加算、特定入院料、短期滞在手術基本料のような基本的な診療についての診療報酬です。

 

特掲診療料とは、指導管理・在宅医療・検査・画像診断・投薬・注射・リハビリテーション・精神科専門療法・処置・手術・麻酔・放射線治療といった項目に分かれております。

 

診療報酬の中には、施設基準の届出を行うことで算定が可能になるものがあり、とりわけ訪問診療においては、この施設基準の届出により算定可能になる診療報酬が収入の柱になってきますので、必ず届出をしておかなければなりません。

 

訪問診療クリニックにおいて、届出をすべき施設基準は以下の通りです。

 

◇ 基本診療料

 

● 機能強化加算

 

● 時間外対応加算

 

◇ 特掲診療料

 

● 在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料

 

● 在宅がん医療総合診療料

 

● 在宅療養支援診療所

 

● 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算

 

● がん性疼痛緩和指導管理料

 

 

以上です。必要に応じてオンライン診療料(現在は、情報通信機器を用いた診療に係る基準)の届出も行っておくとよいです。

 

それぞれの加算や診療報酬には、実績や人員、診療体制などに対する要件があります。

 

訪問診療クリニックを開設したての頃には、要件を満たせずに届出を出すことができない施設基準もありますが、増収のためには、上記に掲げた施設基準を網羅する必要があり、そのために診療体制を構築していく必要があります。

 

ここでは、それぞれの施設基準についてその要件などを解説していきます。なお、各要件については、訪問診療の開業と運営の際に必要な最低限の知識に集約しております。

 

機能強化加算

 

機能強化加算は、外来医療と専門医療機関の適切な役割分担を推進するという観点から、患者に身近なかかりつけ医として、医療の相談に応じるとともに、日々の診療における健康管理の中で、必要に応じて専門医療機関への受診の案内を行うなど、的確で質の高い医療機能を持つ診療所を評価するための加算です。

 

初診料算定時に80点の加算が可能です。

 

算定要件

 

● 患者が受診している他の医療機関及び処方されている医薬品を把握し、必要な服薬管理を行い、それを診療録に記載すること。必要に応じ、担当医の指示を受けた看護職員等が情報の把握を行うことが可能であること。

 

● 専門医師又は専門医療機関への紹介を行うこと

 

● 健康管理に関わる相談に応じること

 

● 保険・福祉サービスについての相談に応じること

 

● 診療時間外の対応も含めて、緊急時の対応方法について情報提供を行うこと

 

届出要件

 

実績

 

●在宅時医学総合管理料に係る届出を行っている医療機関であって、在宅療養支援診療所(1)または在宅療養支援診療所(2)に該当する医療機関であること

 

●在宅時医学総合管理料に係る届出を行っている医療機関であって、在宅療養支援診療所(3)に該当する医療機関であり、下記のいずれかを満たしていること

 

・ 過去1年間の緊急往診の実績が3件以上

 

・ 過去1年間の在宅における看取りの実績が1件以上または過去1年間の15歳未満の重症児及び準超重症児に対する在宅医療の実績が1件以上

 

人員

 

●地域における保険・福祉・行政サービスなどに関わる対応として、以下のいずれかを行っている常勤の医師を配置していること

 

・ 介護保険制度の利用などに関する相談への対応及び要介護認定に係る主治医意見書の作成を行っている。

 

・ 警察医として協力している

 

・ 乳幼児の健康診査(市町村が実施主体)を実施している

 

・ 定期予防接種を実施している

 

・ 幼稚園の園医、保育所の嘱託医または小学校、中学校、高校の学校医

 

・ 地域包括支援センターが開催する地域ケア会議への出席

 

・ 市町村が行う一般介護予防事業に協力している(講演会等)

 

診療体制

 

● 地域におけるかかりつけ医機能として、必要に応じ、以下の対応を行っていること。また、そのような対応を行っていることについて、保険医療機関の見やすい場所やホームページなどに掲示していること

 

※以下の対応とは、算定要件において示した対応を同様のものです。

 

その内容を記載した文sひょを見やすい場所に掲示し、患者様がお持ち帰りできるようにしておきます。

 

 

 

時間外対応加算

時間外対応加算とは、標榜時間外に患者様から問い合わせがあった時に、対応可能な体制が整備されている医療機関を評価する加算です。

 

再診料を算定するときに加算することができます。

 

3段階にわかれており、以下の加算になります。

 

@ 時間外対応加算1:5点

 

A 時間外対応加算2:3点

 

B 時間外対応加算3:1点

 

算定要件

 

電話等による相談の結果、緊急対応が必要だと判断された際には、外来診療・往診・他の医療機関との連携や緊急搬送などの対応を行うこと

 

届出要件

 

標榜時間外に、患者からの電話等による問い合わせがあった際に、対応できる体制を整備すること。

 

また、対応者や緊急時の対応体制、連絡先等について、院内刑事や連絡先を記載した文書の配布、診察券への記載などによって患者に周知していること。

● 時間外対応加算1:常時対応できる体制

 

● 時間外対応加算2:夜間の数時間(18:00-22:00)は対応できる体制。休診日・深夜・休日は留守電により救急医療機関の案内を行う等の配慮がされていること

 

● 時間外対応加算3:複数の診療所と連携して当番制などによって対応できる体制。当番日は夜間の数時間(18:00-22:00)は対応できる体制。当番日以外は、留守電により救急医療機関の案内を行う等の配慮がされていること。

 

【標榜時間外について】

 

例えば、

 

・平日:9:00〜12:00 14:00-18:00

 

・土曜:9:00〜13:00

 

を診療時間として標榜していたとしたら、上記時間外が標榜時間外になりますが、22時-6時までの間は深夜加算がつきますので、それ以外の標榜時間外で時間外対応加算が算定かのうです。

 

ただし、もうひとつ注意しなければならないのは、6-8時と土曜日の12-22時までは標榜時間内でも夜間・早朝等加算が元々算定できるということです。

 

標榜時間内・夜間早朝等加算・深夜加算・時間外対応加算。

 

この4つの要素を頭に入れて加算を算定することになります。

 

在宅時医学総合管理料および施設入居時等医学総合管理料

 

施設基準の届出をしなければ算定できない診療報酬において、在宅時医学総合管理料および施設入居時等医学総合管理料は、最も重要なものだといってよいでしょう。

 

訪問診療における収入の柱となる診療報酬だからです。

 

それぞれ在総管・施設総管と呼ばれたりします。

 

在総管と施設総管の違いは、とても簡単にいうと、患者様の自宅に訪問するか、施設に訪問するかです。

 

在総管および施設総管は、診療報酬点数表に規定されている通り、通院が困難な患者に対し、本人の同意を得て計画的な医学管理の下に定期的な訪問診療をする場合、月1回に限り算定します。

 

在総管や施設総管は、以下の条件で診療報酬の点数が変わります。

 

 

【在総管・施設総管】

 

●在宅時医学総合管理料

 

●施設入居時等医学総合管理料

 

【訪問頻度や患者の状態】

 

● 月1回訪問

 

● 月2回以上訪問

 

● 厚生労働大臣が定める状態の患者に対し月2回以上訪問

 

【単一建物の患者数】

 

● 1人

 

● 2〜9人

 

● 10人以上

 

【医療機関の体制】

 

● 在宅専門診療所・在宅療養支援診療所以外

 

● 在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院以外

 

● 在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院

 

● 機能強化型在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院

 

【病床の有無】

 

● 病床なし

 

● 病床あり

 

 

とても複雑な算定の仕組みのように思えますが、客単価をあげるために目指すべき組み合わせは、ずばり

 

【在宅時医学総合管理料】

 

 

【訪問頻度2回以上(厚労相が定める状態の患者も対応)】

 

 

【単一建物の診療患者数1人】

 

 

【機能強化型在宅療養支援診療所】

 

 

【病床あり】

 

です。

 

この組み合わせで月4500〜5400点の算定が可能になります。

 

※「厚生労働大臣が定める状態」については、また別の記事で解説しております。

 

※在宅緩和ケア充実診療所・病院であれば、400点加算されるので、患者様お一人当たり月4900〜5800点が在総管関連の診療報酬だけで算定可能になります。

 

もちろん、それぞれの条件をクリアするためには、実績を作り様々な調整をしていかなければならず、開業当初から上記の組み合わせで診療報酬を算定できるクリニックは稀でしょう。

 

他のクリニックと連携を深めるなど、工夫次第で上記の組み合わせにすみやかに近づいていくことは可能ですので、ご相談いただければと思います。

 

 

算定の仕方については、10月中において、6日に1回だけ自宅を訪問した場合は、10月6日に月1回の在宅時医学総合管理料を算定します。

 

6日と20日に自宅を訪問した場合は、20日に月2回の在総管を算定します。6日と20日にそれぞれ算定するということではありません。

 

 

算定要件

● 在宅療養計画に基づき、月1回以上継続して訪問診療を行った場合に算定する

 

● 当該患者に対して主として診療を行っている1つの医療機関しか算定できない

 

● 投薬などの費用は別に算定できない

 

● 在宅がん医療総合診療料と同時に算定することはできない

 

施設基準

 

● 介護支援専門員(ケアマネジャー)や社会福祉士など、保険医療サービスおよび福祉サービスとの連携調整を担当する者を配置していること

 

● 在宅医療を担当する常勤医師が勤務し、継続的に訪問診療を行うことができる体制を確保していること

 

● 他の保健医療サービスおよび福祉サービスTぽの連携調整に努めるとともに、当該医療機関は、市町村、地域包括支援センターなどに対する情報提供にも併せて努めること

 

● 地域医師会などの協力・調整などの下、緊急時などの協力体制を整えることが望ましい

 

在宅がん医療総合診療料

 

在宅がん医療総合診療料は、居宅で療養している末期のがん患者に対して、在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院が計画的な医学管理の下で総合的な医療を提供した場合に算定できる診療報酬です。

 

在宅看取りを推進するために、その中核となる訪問診療や訪問看護がよりアグレッシブに活動できるようにするための診療報酬です。

 

おおまかな仕組みとしては、訪問診療と訪問看護の一日当たりの費用を医療機関が丸めで算定をします。そしてその後に、訪問診療と訪問看護で点数を割り振るという作業をすることになります。

 

在宅時医学総合管理料と同時に算定することはできないため、在総管と在宅がん医療総合診療料のどちらで算定した方が、便利で有益かを判断しながら実施していくことになります。

 

丸めの診療料は、1日当たりの点数が決まっており、さらに医療機関が、

 

@ 病床ありの機能強化型在支診・在支病

 

A 病床無しの機能強化型在支診・在支病

 

B 機能強化型でない在支診・在支病

 

のどれにあてはまるかによって点数が変動します。

 

もちろん@が最も1日当たりの点数が高くなります。

 

以下にメリットとデメリットをあげておきます。

 

【メリット】

 

●医療機関と訪問看護ステーションが「特別な関係」にある場合では、訪問診療と訪問看護が同日算定できないため収益を取りづらいが、在宅がん医療総合診療料を用いて丸めで算定してしまえば、そのような事情を考慮しなくてもすむ

 

※「特別な関係」とは、医療機関と訪問看護ステーションの開設者や代表者が同一、各代表者が親族といった場合

 

●医療費が高額なために訪問診療や訪問看護の利用頻度を控えてしまう患者にとっては、1日の利用料が定額なので、金額を気にすることなく利用できる

 

【デメリット】

 

●医療機関で一度丸めの点数を計算してから、訪問看護ステーションとどのくらいの割合で点数を割り振るかを調整しなければならないためとても扱いづらい

 

●1日の診療点数が決まっているため、1日に訪問診療や訪問看護に入れば入るほど出来高算定に比べ診療報酬は低くなる

 

これまでの経験でいうと、デメリットの方が大きいために、積極的に活用していこうというクリニックはないと思います。

 

基本的には在宅時医学総合管理料や施設入居時医学総合管理料を柱に収益を立てていくことが重要だと考えてよいと思います。

 

算定要件

 

● 居宅で療養する末期のがん患者が対象

 

● 往診および訪問看護により24時間対応できる体制の確保

 

● 在支診または在支病の連絡担当者の氏名・連絡先電話番号・担当日・緊急時の注意事項等について文書により提供すること

 

● 対象患者に

 

 ・ 訪問診療回数が週1回以上

 

 ・ 訪問看護回数が週1回以上

 

 ・ 訪問診療と訪問看護の合計日数が週4日以上

 

 のいずれも満たす総合的な医療を提供した場合に算定

 

● 主治医がケアマネジャーに対して、患者の予後や今後想定される病状の変化、変化に合わせて必要となるサービスなどの情報を提供すること

 

施設基準

 

● 在宅がん医療を提供するための必要な体制が整備されている。

 

● 緊急時の入院体制が整備されている。

 

● 在支診または在支病にかかる施設基準の届出を行っている、。

 

● 居宅において療養を行っている末期の悪性腫瘍患者であって通院が困難なものに対して^、計画的な医学管理の下に総合的な医療を提供できる

 

● 患者に対し、定期的に訪問診療および訪問看護を実施できる体制がある。

 

● 患者の病状急変などにより、患者などから求めがあった場合に、常時対応できる体制がある。

 

● 上記の訪問看護および病状急変時の対応について、当該医療機関と連携を有する医療機関、訪問看護ステーションと共同して、これに当たっても差し 支えない。

 

 

 

 

在宅療養支援診療所

在宅療養支援診療所は、患者様が住み慣れた地域で長くあるいは最期まで療養生活を継続できるように、24時間在宅医療を提供したり、他の医療機関や訪問看護ステーションを連携をはかる体制を整えているクリニックを評価するために設けられた制度です。

 

略して、在支診と呼ばれます。

 

在宅療養支援診療所の施設基準を満たし、届出をすることで、往診料の夜間・休日加算、ターミナル加算、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料などで、高い点数を算定できるようになります。

 

患者様に対して良質な地域医療を提供するためには欠かせない施設基準であるとともに、増益を図るという点においても、在宅時医学総合管理料と並んで重要な施設基準となります。

 

施設基準

 

● 診療所であること。

 

● 診療所において24時間連絡を受ける医師または看護職員をあらかじめ指定し、連絡先を文書で患家に提供する。

 

● 患家の求めに応じて、自院または他の医療機関、訪問看護ステーションと連携し、24時間往診・訪問看護を提供できる体制を確保する。

 

● 上記の患者に対して、24時間往診・訪問看護を行う担当医師・担当看護師などの氏名、担当日などを患家に文書で提供する

 

● 緊急時に入院できる病床を常に確保する(他の医療機関との連携による確保でもよい)

 

● 地方厚生(支)局長に年1回、在宅看取り数などを報告する。

 

● 直近1ヶ月の在宅患者割合が95%未満

 

担当医師・担当看護師などの氏名・担当日などを患家に文書で提供するというのは、実務としては、毎月在宅療養計画書を作成して患者様に署名をいただくということになります。その点においても実際は工夫が必要になるのですが。

 

また、地方厚生局への年1回の報告は、いわゆる7月報告と呼ばれるものです。詳細は別の記事で解説しております。

 

また注意すべきは、直近1ヶ月の在宅患者割合が95%未満という要件です。

 

この割合が95%以上になると在宅専門診療所とみなされます。

 

在宅専門診療所とみなされると、在支診に求められる実績もよりも、さらに高い実績を求められますので、現実的には、在宅患者割合が95%を超えないよう外来患者を確保する工夫が必要になります。

 

機能強化型在宅療養支援診療所について

 

在宅療養支援診療の算定には以下の3種類があります。

 

@ 「第9」の1の(1)に規定する在宅療養支援診療所

 

A 「第9」の1の(2)に規定する在宅療養支援診療所

 

B 「第9」の1の(3)に規定する在宅療養支援診療所

 

です。

 

Bがこれまで解説してきた在宅量支援診療所です。

 

@とAは、「機能強化型在宅療養支援診療所」と呼ばれる類型になります。

 

@が単独型。Aが連携型と呼ばれます。

 

機能強化型在宅療養支援診療所は、Bの在支診以上の実績が要件として求められますが、在支診よりもさらにたかい診療報酬の算定が可能になりますので、開業したての頃は、難しくとも機能強化型在宅療養支援診療所の施設基準はぜひとも目標にするべきものとなります。単独でこの施設基準を満たすのはかなりハードルが高いので、多くのクリニックがAの連携型で施設基準の届出を出しております。

 

@〜Bまでの主な施設基準を比べた表を以下の通り作成しました。

 

機能強化型(単独型)
在宅療養支援診療所
機能強化型(連携型)
在宅療養支援診療所
在宅療養支援診療所
常勤医師の数 3名 連携医療機関内で3名 1名
24時間連絡がつながる体制 必要 必要 必要
24時間往診できる体制 必要 必要 必要
24時間訪問看護の提供が
可能な体制
必要(訪看ステーションと連携可) 必要(訪看ステーションと連携可) 必要(訪看ステーションと連携可)
緊急時の入院体制 有床診療所:自院
無床診療所:他院連携可
他院連携可 他院連携可
1年間の緊急往診の実績 10件 連携医療機関内で10件
かつ自院:4件
なし
看取り又は15歳未満の超重症児及び
準超重症児に対する1年間の在宅医療の実績
4件 連携医療機関内で4件
かつ自院:2件
なし

 

 

 

 

 

在宅緩和ケア充実診療所・病院加算

 

ここまで、在宅時医学総合管理料をベースに、在宅療養支援診療所の要件を満たすこと、さらに実績が必要となる機能強化型在宅療養支援診療所の要件を満たすことが、増収には欠かせないという話をしてきました。

 

在宅緩和ケア充実診療所・病院は、訪問診療の提供体制において、(今のところ)最も質の高い医療機関として評価されることを意味しており、緊急往診・夜間深夜休日往診・在宅ターミナルケア加算・在総管・施設総管でさらなる診療報酬の加算を得ることができます。

 

施設基準

● 機能強化型在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院の届出を行っていること

 

● 過去1年間の緊急往診の実績15件以上かつ在宅看取りの実績20件以上

 

● 末期の悪性腫瘍等の患者で、鎮痛薬の経口投与では疼痛が改善しない場合に、オピオイド系鎮痛薬の患者自己注射を指導・実施した実績が過去1年間に2件以上、または過去に5件以上実施した経験のある常勤医師が配置され、適切な方法によりオピオイド系鎮痛薬を投与した実績(投与経路は問わない)が過去1年間に10件以上

 

● がん性疼痛緩和指導管理料の施設基準に定める研修を修了した常勤医師がいる

 

● 緩和ケア病棟までは在宅での1年間の看取り実績が10件以上の医療機関において3か月以上の勤務歴がある常勤医師(在宅医療を担当する医師に限る)がいる。

 

●院内等において、過去1年間の看取り実績及び十分な緩和ケアが受けられる旨の掲示をするなど、患者に対して必要な情報提供がなされている。

 

※がん性疼痛緩和指導管理料の施設基準に定める研修とは、次のいずれか。

 

・「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針に準拠した緩和ケア研修会」

 

・「緩和ケア基本教育のための都道府県指導者研修会等」

 

在宅療養実績加算について

 

在宅緩和ケア充実診療所・病院加算は、上記の通り、機能強化型の在支診や在支病でしか算定することができない。

 

機能強化型ではない在支診や在支病でも次の基準を満たせば加算を算定することができるのが、在宅療養実績加算です。

 

在宅療養実績加算には2種類あり、それぞれの実績要件が異なり、1の方が要件が厳しく、よって加算も多いことになります。

 

@ 在宅療養実績加算1

 

・過去1年間の緊急往診が10件以上かつ在宅看取り実績が4件以上

 

A 在宅療養実績加算2

 

・過去1年間の緊急往診が4件以上かつ在宅看取り実績が2件以上

 

・がん性疼痛緩和指導管理料の施設基準に定める研修を修了した常勤医師がいること

 

 

がん性疼痛緩和指導管理料

 

がん性疼痛緩和指導管理料は、がん治療における緩和ケアの提供体制を評価する診療報酬です。

 

対象となる患者様は、医師ががん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者の方です。

 

要するに、がんの痛みに対してオピオイドを使用し緩和ケアを行っている患者様ということになります。

 

毎月200点の診療報酬を算定することができます。

 

※当該患者が15歳未満の小児である場合は、50点を加算します。

 

算定要件

 

● WHO方式のがん性疼痛の治療法に従って、副作用対策等を含めた計画的な治療管理を継続して行い、療養上必要な指導を行うこと。

 

※WHO方式のがん性疼痛の治療法→『がんの痛みからの解放-WHO方式がんの疼痛治療法-』を参照

 

● 指導内容として、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明、疼痛時に追加する臨時の薬剤の使用方法に関する説明を行うこと

 

● 麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載すること

 

● がん性疼痛緩和指導管理料は^、緩和ケアの経験を有する医師(緩和ケアに係る研修を受けた者に限る。)が、当該指導管理を行った場合に算定すること。

 

● 緊急時に居宅において療養を行っている患者が入院できる病床を常に確保していること。(無床診療所の場合は、他の医療機関との連携可)

 

施設基準

 

● 保険医療機関内に、緩和ケアの経験を有する医師が配置されていること

 

※「緩和ケアの経験を有する医師」とは次のいずれかの研修を修了したもの

 

@「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針に準拠した緩和ケア研修会」

 

A「緩和ケア基本教育のための都道府県指導者研修会等」

 

緩和ケア研修について

 

上記にあげた緩和ケアの研修会は、e-learningと集合研修で構成されております。

 

Aの研修会は、@の研修会のステップアップ研修という意味合いもありますから、施設基準を満たすために研修会を受けるとしたら、@の方になります。

 

毎月各拠点病院で開催されており、東京都福祉保健局のホームページで確認することができます。

 

情報通信機器を用いた診療に係る基準

 

令和4年の診療報酬改定により、オンライン診療の施設基準が廃止され、情報通信機器を用いた診療に係る基準が新設されました。

 

オンライン診療料では、慢性疾患を有する患者様などに、ビデオ通話等の情報通信機器を用いた診察を行った場合、電話等再診料ではなく、「オンライン診療料」を算定しておりましたが、これが廃止されて、「情報通信機器を用いた診療に係る基準」を届け出ていれば、ビデオ通話等、情報通信機器を使用して、初診又は最新を行った場合は、「初診料(情報通信機器を用いた場合)」と「再診料(情報通信機器を持いた場合)」を算定することができます。

 

オンライン診療料の場合、対象は、対象疾患が限定的で、直近3か月間に対面診療を毎月行った患者でしたが、

 

これが廃止となり、新たに「情報通信機器を用いた診療に係る基準」の施設基準を届け出ていれば、どのような疾患でもオンラインで診療を行った場合でも初診料をとることができるようになりました。

 

※2020年4月10日意向の新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う特例による「新型コロナウイルス感染症流行下における電話等を用いた診療」もいまだ有効ですので、診療報酬を算定する際は、注意が必要になります。この特例を利用する場合は、「初診料」および「電話再診料」を算定するわけです。

 

主な算定基準

 

● 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、オンライン指針と呼ぶ。)に沿って診療を行うこと

 

● 診療内容・診療日・診療時間等の要点をカルテに記載すること

 

● 原則として、保険利用期間に所属する保険医が保険医療機関内で実施すること。

 

● 患者の急変時には、原則として、情報通信機器を用いた診療を行う医療機関自身が対応すること

 

● 対面診療を提供できる体制を有すること

 

● 情報通信機器を用いた診療を行った際は、一般社団法人日本医学会連合作成の「オンライン診療の初診に適さない症状」なども踏まえながら、オンライン指針に沿った適切な診察であることをカルテや診療報酬明細書に記載すること。同じく処方についても、「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」などのガイドラインを参考にしながら、指針に沿った適切な処方であることをカルテや診療報酬明細書に記載すること。

 

施設基準

 

● 保険医療機関外で診療を実施することがあらかじめ想定される場合においては、実施場所がオンライン指針に該当しており、事後的に確認できること。

 

● 対面診療を提供できる体制を有すること

 

● 対面診療を提供することが困難な場合に、他の保険医療機関と連携して対応できること

 

● オンライン指針に沿って診療行う体制を有する保険医療機関であること

 

届出をした後は、毎年7月、厚生局に前年度の情報通信機器を用いた診療実施状況や診療件数を報告しなければなりません(7月報告)。