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公費負担医療機関指定申請とは

 

公費負担医療機関指定申請とは、公費負担医療制度を利用して診療を行うために必要な指定申請です。

 

公費負担医療制度とは、医療保険制度とは別に、国や地方自治体が税金を財源に費用負担を行う制度です。

 

ということで、生活保護法指定医療機関の申請をしていなければ、生活保護を受給している患者様の診療を行うことは実質不可能となります。

 

公費負担医療には、様々なものがあり、それぞれに指定申請をしなければなりません。指定申請先もそれぞれにおいて異なります。

 

もちろん、すべての公費負担医療機関指定申請をしなければいけないということはありません。

 

”うちは公費負担医療はやりません”というスタンスであればそれでもかまいませんが、患者様や支援者の方の利便性や経済的負担の軽減ということを考えると、指定申請をしないことはビジネス的な面も含めて、明らかに損です。

 

とりわけ訪問診療においては、生活保護法指定医療機関と難病指定医療機関・難病指定医、指定自立支援医療機関については必ず申請しておくべきだと考えます。

 

ここでは各種公費負担医療の指定医療機関申請について解説していきます。

 

生活保護指定医療機関

 

生活保護法に基づく診療は、生活保護における医療扶助によって行われます。

 

都道府県知事または政令市の市長が指定した医療機関が、医療扶助の決定を受けた患者様に対して診療をするという形になります。

 

訪問診療において生活保護を受給している患者様に対する診療の一連のマニュアルについては、各種マニュアルの項目をご参照ください。

 

 

手続きの流れ

 

@ 診療所を所轄する福祉事務所に必要書類を提出

 

A 福祉事務所経由で指定通知書が送付される

 

※指定年月日は、福祉事務所が受理した月の1日となります。

 

例えば、受理日が令和3年11月22日であれば、指定年月日は、令和3年11月1日となります。

 

※福祉事務所と市役所は正確に言うと別の機関ですが、市役所内にありますので、とりあえず福祉事務所=市役所と考えていただいて結構です。

 

必要書類

 

● 生活保護法指定(中国残留邦人等支援法指定)医療機関 指定申請書

 

● 誓約書=生活保護法第49条の2第2項第2号から第9号までに該当しない旨の誓約書

 

※生活保護法指定申請書は、中国残留邦人等支援法に基づく支援給付の指定申請書と兼ねております。その理由や中国残留邦人等支援法に基づく支援給付については、あまり重要ではないので、割愛します。

 

その他

 

更新申請について

 

有効期間は6年です。

 

更新を受けなければ効力を失います。

 

更新時期が近づくと、東京都福祉保健財団より更新の案内と更新申請書類が届くので、必要に応じて変更箇所を赤字で訂正して、所定の提出先に提出します。

 

変更申請について

 

届出事項に変更があった場合や業務の廃止・休止・再開をする場合は、届出書の提出が必要になります。

 

例えば、以下の通りです。

 

●開設者が交代した。 ※法人の場合は不要

 

●開設者が個人から法人になった。法人から個人になった。

 

●病院から診療所になった。診療所から病院になった。

 

●所在地を移転した。

 

生活保護法指定介護機関について

 

居宅療養管理指導の項目にて、詳しく解説しておりますが、訪問診療でも介護保険の業務があります。

 

それが居宅療養管理指導です。

 

そして、生活保護には、介護扶助というものがあり、居宅療養管理指導の費用についても、生活保護において給付がなされます。

 

生活保護法指定医療機関の申請をすれば、生活保護法指定介護機関の指定を受けたものとみなされるので、介護扶助で居宅用療養管理指導を利用できる機関について、別途手続きは必要ありません。

 

難病指定医療機関・難病指定医

 

難病指定医療機関とは、とても簡単にいうと、指定難病医療費助成制度を利用することができる病院や診療所、薬局、訪問看護ステーションのことで、都道府県が指定をします。つまり特定医療費(指定難病)受給者証(いわゆる54”ゴー・ヨン”)を取り扱うことのできる医療機関ということです。

 

難病指定医とは、とても簡単にいうと、患者様が指定難病医療費助成制度を利用するための申請に必要な診断書(臨床調査個人票)の新規作成や更新時の作成ができる医師のことで、この指定も都道府県が行います。

 

注意するべきは、指定医と指定医療機関は別ものだということです。

 

たとえ指定医が難病患者様に治療を行っても、指定医療機関で行われたものでない限り、指定難病医療費助成制度を利用することはできません。

 

難病医療費助成制度が利用できる対象難病は国制度では338疾病(都制度では+8疾病)ありますが、私の経験上、訪問診療において最も利用頻度が高いのが、パーキンソン病です。その他では、進行性核上性麻痺・筋萎縮性側索硬化症・多系統萎縮症・もやもや病・プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病もここに含まれます)・サルコイドーシス・シャルコー・マリー・トゥース病・類天疱瘡・筋ジストロフィーといった疾患を抱える患者様が利用しておりました。

 

パーキンソン病は、認知症と同様に、高齢社会が進行し、平均寿命が伸びれば伸びるほど、患者数が増加するといわれており、今後も増加が予測されます。

 

難病指定医療機関と難病指定医の指定申請をしっかり完了させて、よりクリニックの利便性を高めていくことは、地域貢献とビジネス両面から見て必須です。

 

難病患者様の診療マニュアルも参照にしていただきながら、難病患者様の受け入れにしっかりと対応できるようにしておきましょう。
ここの仕組みがよくわかっていると、患者様だけでなく病院や訪問看護ステーション、ケアマネジャーからの信頼も得ることができます。

 

※都制度の8疾病に関してはほとんど利用することがないので割愛します。

 

難病指定医療機関と難病指定医、それぞれの指定申請手続きについて解説していきます。

 

※以下の解説は東京都の場合です。

 

【難病指定医療機関指定申請】

 

手続きの流れ

 

@ 東京都福祉保険局の担当部署に必要書類を提出

 

A 都知事審査を経て指定がされれば、指定医療機関指定通知書が届く

 

B 指定後、指定医療機関の名称、所在地等が公表される

 

※東京都福祉保健局への提出は郵送でも可能です。

 

※提出先は、以下の通りです。

 

163-8001

 

東京都新宿区西新宿2−8−1 東京都超第一本庁舎29階南側

 

東京都福祉保健局保険政策部疾病対策課疾病対策担当

 

必要書類

 

● 難病医療費助成指定医療機関指定申請書

 

その他

 

更新申請について

 

有効期間は6年です。

 

更新を受けなければ効力を失います。

 

有効期間満了日が近づくと更新のお知らせが届きますので、必要書類を東京都福祉保健局に提出します。

 

必要書類もお知らせに記載されていますが、

 

・更新申請書

 

・難病指定医療機関指定通知書の写し

 

であることが多いです。

 

変更申請について

 

指定医療機関の名称・所在地・役員の氏名及び職名(法人の場合)等に変更があった場合は、難病医療費助成指定医療機関変更届の提出が必要です。
※医療機関コードの変更を伴うような変更の場合は、変更前の医療機関の業務廃止手続きをして、変更後の医療機関の新規申請をします。

 

つまり、変更前の医療機関の「指定医療機関業務休止等届」を出して、変更後の医療機関の「指定医療機関指定申請書」を提出することになります。

 

【難病指定医】

 

冒頭で、難病指定医とは、患者様が指定難病医療費助成制度を利用するための申請に必要な診断書(臨床調査個人票)の新規作成や更新時の作成ができる医師のことだと説明しました。

 

正確に言うと、臨床調査個人票を作成できる医師は、難病指定医と協力難病指定医です。

 

違いは、難病指定医は、指定難病医療費助成制度(国制度)の新規申請の際の臨床調査個人票を作成できますが、協力難病指定は、更新の際の臨床調査個人票しか作成することができません。

 

難病指定医も協力難病指定医も都道府県による指定が必要です。

 

それぞれに要件が違います。以下の通りです。

 

要件

 

<難病指定医>

 

@ 診断または治療に5年以上従事した経験を有すること

 

A 診断書を作成するのに必要な知識と技能を有すること

 

B 厚生労働大臣が定める認定機関が認定する専門医の資格を有すること

 

C 都道府県知事の行う研修を修了していること

 

※BとCについてはいずれか

 

※Cによる場合は、5年ごとに研修を受ける必要があります。

 

 

<協力難病指定医>

 

@ 診断または治療に5年以上従事した経験を有すること

 

A 診断書を作成するのに必要な知識と技能を有すること

 

B 都道府県知事の行う研修を修了していること

 

 

※協力難病指定医と指定難病医の研修は内容が異なります

 

※5年ごとに研修を受ける必要があります。

 

 

手続きの流れ

 

@ 東京都福祉保険局の担当部署に必要書類を提出

 

A 指定が決定すれば、指定通知書が届く

 

B 指定後、主たる勤務先医療機関及び氏名等が公表される

 

必要書類

 

 

【難病指定医】

 

● 指定医指定申請書兼経歴書

 

● 医師免許証の写し

 

● 専門医に認定されていることを証明する書類の写しあるいは難病指定医の指定に係る研修を修了したことを証する書類

 

※研修を修了したことを証する書類とは、オンラインの場合、指定医オンライン研修修了証(難病指定医向けコース)

 

【協力難病指定医】

 

● 指定医指定申請書兼経歴書

 

● 医師免許証の写し

 

● 指定医オンライン研修終了証(協力難病指定医向けコース)

 

● 「協力難病指定医に係るガイドブック」質問シート

 

所要時間

 

指定通知書が届くまでに大体1−2か月。

 

その他

 

更新申請について

 

難病指定医及び協力難病指定医の有効期間は5年間です。

 

有効期間満了日の1年前から更新手続きが可能です。

 

必要書類は、難病指定医あるいは協力難病指定医の指定申請において必要になった書類と同様です。

 

変更申請について

 

氏名・現住所・主たる勤務先の医療機関等に変更があった場合は、指定医指定内容変更届を提出しなければなりません。

 

※ 主たる勤務先の医療機関の変更は都内に限ります。都外であれば、指定指定自体申出書を提出して、都以外の道府県で再度指定申請をします。

 

※ 氏名変更の場合は、氏名変更の履歴がわかる書類の添付が必要です。

 

  戸籍抄本や運転免許証の写し等です。

 

 

 

 

コラム 消化器内科の医師がパーキンソン病の臨床調査個人票を作成できますか

 

消化器内科の医師でも、難病指定医の指定さえとることができれば、パーキンソン病の臨床調査個人票を作成することができます。

 

ただし、臨床調査個人票に記載する項目を見てもわかる通り、相応の診療データが必要とされます。

 

ゆえに、訪問診療医が新規申請の臨床調査個人票を作成するのは実質的に難しいでしょう。

 

まれに神経内科の専門医が、メディカルスキャニング等の検査機関を利用して新規申請を行ったりすることはありますが。

 

ともあれ、訪問診療医が作成するのは、ほとんど更新申請の際の臨床調査個人票であるといっても差し支えありません。

 

その際のデータをどのように集めるのかについてもコツがあります。


 

 

 

 

 

指定自立支援医療機関

 

自立支援医療とは障害者総合支援法に基づいて行われる医療費公費負担制度です。

 

都道府県及び政令市から指定自立支援医療機関の指定を受けた医療機関において利用することができます。

 

自立支援医療の以下の通り3種類あります。

 

@ 育成医療:障害児(18歳未満)で障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者に提供される。

 

A 更生医療:身体障害者(18歳以上。障害者手帳の交付を受けた者)で障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者に提供される。

 

B 精神通院医療:統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者に提供される。

 

このうち、訪問診療のクリニックが指定申請を受けるべきなのは、精神通院医療です。

 

育成医療と更生医療は、訪問診療の医療提供において適用を受けることはほぼありませんし、私の勤務していたクリニックでも、育成医療と更生医療を利用する患者様はおらず、心身障害者医療費助成制度の利用が主でした。

 

対して、精神通院医療のニーズはとても多いです。

 

統合失調症やうつ病、てんかんだけでなく、認知症患者の方も精神通院医療は利用できます。

 

自立支援医療は自己負担が原則1割となり、所得に応じて上限金額も設定されますので、この制度について知悉し、患者様やケアマネジャーに適切に案内できると大きな武器になります。

 

また、増患ノウハウの項でも開設している通り、内科中心のクリニックでも、非常勤で精神科医に往診体制を整えることはとても重要です。

 

精神通院医療については、精神科を標ぼうするなど一定の要件がクリアできれば、必ずしも精神科医が在籍している必要はありませんが、精神科の先生が在籍しており、必要に応じて精神科の往診ができる体制があることは、とても大きな宣伝効果を持ちました。

 

ということで、ここでは自立支援医療(精神通院医療)の指定申請手続きについて解説していきます。

 

※以下の開設は東京都の場合です。

 

審査基準

 

● 指定自立支援医療機関療養担当規定により懇切丁寧な自立支援医療が行える医療機関であること

 

● 別表1に掲げる体制を備えていること

 

● 主として担当する医師が別表2の要件を満たしていること

 

別表1に掲げる体制とは、

 

● 各種医療・福祉制度の紹介や説明、カウンセリングの実施等が行える体制が整備されていること

 

● 担当しようとする精神医療について、その診断、治療を行うのに十分な体制を有しており、適切な標榜科が示されていること

 

別表2に掲げる医師の要件とは、

 

● 当該指定自立支援医療機関に勤務している医師であること(非常勤含む)

 

● 保険医療機関における精神医療についての診療従事年数が、医籍登録後から通算して3年以上あること

 

です。

 

※精神科の医師がいなくても精神科は標榜できますし、精神科の医師でなくても、精神医療についての従事(てんかんや認知症でもよい)があれば、要件をクリアできるというわけですが、やはり非常勤でもよいので、精神科医による往診体制を整えることは、増患の点でも重要だと考えます。

 

手続きの流れ

 

@ 必要書類を東京都福祉保健局の担当課に提出する

 

A 指定がなされると知事から指定自立支援医療機関(精神通院医療)指定書が送付される

 

※必要書類の提出締切日は毎月1日です。締切日当日の消印も有効です。

 

例えば、8月1日に指定を受けたければ、7月1日までに書類を提出する必要があります。

 

※必要書類の提出は原則郵送で行います。

 

※提出先は、以下の通りです。

 

163-8001

 

東京都新宿区西新宿2−8−1

 

東京都福祉保健局 障害者施策推進部 精神保険医療課 生活支援担当

 

必要書類

 

● 指定自立支援医療機関(精神通院医療)指定申請書(病院・診療所)

 

● 主として担当する医師の経歴書

 

● 医師免許証の写し

 

● 誓約書

 

※障害者総合支援法第59条第3項で準用する同法36条第3項各号の規定に該当しない旨の誓約書

 

その他

 

更新申請について

 

有効期間は6年です。

 

更新を受けなければ効力を失います。

 

必要書類は以下の通りです。

 

・更新申請書

 

・誓約書

 

変更申請について

 

医療機関・開設者の名称や所在地や主として担当する医師の変更があった場合は変更届の提出が必要になります。

 

労災保険指定医療機関

 

労災保険指定医療機関とは、簡単にいうと、労災保険における療養(補償)等給付を利用する患者様が、医療機関において窓口負担なしで診察を受けることができる医療機関です。

 

労災保険における療養給付は、労災非指定医療機関でも利用することができます。

 

その場合は、患者様は一旦診療費を医療機関に支払い。医療機関から証明を受けた所定の書式(療養の費用請求書)を労働基準監督署に提出して診療費分を支給してもらいます。つまり償還払いになるということです。

 

対して、労災保険指定医療機関における診察であれば、患者様は償還払いを受けずに済み、代わりに医療機関側が所定の書式(療養の給付請求書)を都道府県労働局を経由して労働基準監督署に提出し、厚生労働本省から医療機関に支払いがなされることになります。

 

やや複雑ですが、労災保険指定医療機関では、窓口負担がゼロ。

 

労災非保険指定医療機関では、償還払いになる。

 

という違いを覚えておけばよいと思います。

 

要するに、患者様にとっては、労災保険指定医療機関で診察を受けた方がとても便利になるということですね。

 

ということで、ここでは、労災保険指定医療機関の指定申請手続きについて解説していきます。

 

※以下の手続きは東京都の場合です。

 

手続きの流れ

 

@ 医療機関の所在地を管轄する都道府県労働局長に必要書類を提出する

 

A 指定決定がなされると、都道府県労働局長より指定通知書が通知書が届く。

 

東京都の場合は、医師会に入会していると、医師会を経由して都道府県労働局長に申請をします。

 

つまり必要書類は、医師会に提出するということです。

 

具体的に言うと、地区医師会に必用書類を提出して、推薦が適当であると確認されると、東京都医師会へ提出されるという流れになります。

 

医師会経由で申請するメリットは、

 

医師会経由の場合は、書類審査により指定が決定します。

 

医師会経由でない場合は、書類審査及び調査の上、指定が決定し、

 

要するに指定が簡便であるということです。

 

また遡及願いを出すことで、遡及申請が可能です。

 

簡単にいうと、普通は労災保険指定医療機関の指定が済んでいないと、その医療機関を利用する患者様は窓口負担ゼロで給付を受けることはできませんが、すでに窓口負担ゼロで診察をした医療機関が遡及申請をすることで、そこにさかのぼって労災保険指定医療機関の指定を受けることができ、国に患者様負担部の支払いの請求ができるということです。

 

必要書類

 

@ 労災保険指定医療機関指定申請書

 

A 病院(診療所)施設等概要書

 

B 管理者の「医師会履歴書」

 

C 管理者の「医師免許証」の写し

 

D 診療所開設届の写し ※保険医療機関指定通知書は不可

 

E 労働保険関係成立届または申告書の写し

 

F 労災指定病院等登録(変更)報告書(20号及び21号)

 

※@AFについては東京労働局労働基準部労災補償課分室より取り寄せます

 

※Bは任意様式で構いません

 

その他

 

更新申請について

 

有効期間は3年です。

 

ただ、有効期間満了の6か月前から3か月前までに、指定医療機関から別段の申し出がない場合は、指定期間がその都度更新します。

 

変更申請について

 

開設者や管理者、医療機関の名称や所在地などに変更があったときは、変更の届出が必要です。

 

届出は、東京労働局労働基準部労災補償課分室に直接することになります。

 

 

 

被爆者一般疾病指定医療機関

 

被爆者一般疾病医療機関とは、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律にもとづき行われる医療の給付において、被爆者の方の自己負担分を被爆者に代わって医療機関が国に請求できる医療機関です。

 

要するに、労災保険指定医療機関と同様に、被爆者の方が医療給付を受ける際に、窓口負担がゼロで済むという話です。

 

少し深堀をしておくと、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律にもとづき行われる医療の給付には以下の2種類があります。

 

@ 一般疾病に対する医療の給付

 

A 認定疾病に対する医療の給付

 

訪問診療に関係してくるのは、@の一般疾病に対する医療の給付になります。

 

被爆者の方は、原子爆弾の放射線を浴びた影響で、

 

・病気やけがにかかりやすい

 

・病気やけがが治りにくい

 

・病気やけがによって認定疾病を誘発するリスクがある

 

ということが考えられます。

 

その点を考慮して、被爆者の方に関しては、認定疾病以外の一般の病気やけがに対しても、しっかり国で補償をしていきましょうという制度になります。

 

指定は都道府県知事によって行われます。

 

ということで、被爆者一般疾病指定医療機関の指定申請手続きについて解説していきます。

 

※以下の開設は東京都の場合です。

 

手続きの流れ

 

@ 必要書類を福祉保健局へ提出

 

A 指定決定がなされると、都道府県知事より指定通知書が届く。

 

必要書類

 

● 被爆者一般疾病医療機関指定申請書

 

提出先

 

163-8001
東京都新宿区西新宿2-8-1
東京都福祉保険局 保険政策部 疾病対策課 被爆者援護担当

 

※23区であれば区保健所、多摩地域であれば都保健所や八王子市保健所、町田市役所でも手続き可能です。

 

所要時間

 

月末までに指定申請書を郵送すると、翌月に指定通知書が送付されます。

 

その他

 

経営主体が変わらず法人名称の変更や個人開設者の婚姻などによって姓名が変更しただけであれば、「変更届」を提出するだけで大丈夫ですが、

 

以下の場合は、既に受けている指定について辞退をしてから、再度指定申請をするという流れになります。

 

● 開設者を個人から法人へ、あるいは、法人から個人へ変更する場合

 

● 病院から診療所へ、あるいは、診療所から病院へ変更する場合

 

● 開設者の変更 ※例えば個人開設者の死亡・法人の解散・事業譲渡

 

その場合の必要書類は以下の通りです。

 

● 被爆者一般疾病医療機関自体申出書

 

● 被爆医者一般疾病医療機関の指定について=既に指定をうけている指定通知書

 

※紛失した場合は、紛失届

 

● 被爆者一般疾病医療機関指定申請書

 

感染症指定医療機関(結核)

 

結核指定医療機関に指定されると、その医療機関では、結核医療費公費負担制度が利用できます。

 

結核医療費公費負担制度は、入院医療と一般医療(通院医療)で分かれますが、訪問診療において関連するのは、一般医療の方です。

 

公費負担対象となる医療項目の自己負担を95%あるいは全額国が負担してくれる制度です。

 

ただし、公費負担対象には、外来診療料などは含まれておりませんので、訪問診療での利用は限定的かと思いますが、各種公費負担医療の指定申請と一緒に結核指定医療機関の指定申請もしておくとよいでしょう。

 

※以下は東京都の場合の手続きです。

 

手続きの流れ

 

@ 管轄の保健所へ必要書類を提出する。

 

A 指定が決定すると都知事から指定通知書が交付される。

 

※指定を受ける前に公費負担患者が診察を受けている場合は、「遡及願」を出すことで遡及できる場合があります。

 

必要書類

 

● 結核指定医療機関指定申請書

 

● 診療所開設届

 

● エックス線撮影装置利用承諾書

 

※エックス線撮影装置の設備がない場合で、他の病院・診療所と連携してエックス線撮影装置を利用する場合

 

その他

 

指定内容を変更する場合

 

変更内容によって手続きが異なるので注意が必要です。

 

● 開設者が変わるとき

 

● 開設者が個人から法人あるいは法人から個人へ変わるとき

 

● 医療機関を移転するとき

 

● 診療所を病院にあるいは病院を診療所に変更するとき

 

→ 現に受けている指定を辞退して、新たな指定申請を受ける

 

 

● 医療機関の名称変更

 

● 医療機関所在地の住居表示変更

 

● 開設者の氏名に変更があったとき

 

● 開設者の住所に変更があったとき

 

→ 変更届の提出