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防火管理者とは

 

消防法には、火災の発生を防止したり、火災が発生した時に被害を最小限にとどめるための防火管理制度の規定があります。

 

この防火管理制度では、一定の要件を満たす建物の所有者や賃借人は、防火管理者の選任が必要になります。

 

このように、開業をするにあたって、消防関連の手続きが必要になります。

 

主なものは以下の通りです。

 

@ 防火対象物使用開始届出

 

A 防火管理者講習

 

B 消防計画の作成

 

ここでは、訪問診療クリニック開業の際に、必要となる防火管理一般の手続きについて解説していきます。

 

※以下は、東京都における手続きの概要です。

 

防火対象物使用開始の届出

 

防火対象物使用開始届出書は、建物や建物の一部を使用しようとするときに、使用開始の7日前までに、その内容を管轄の消防署に届け出なければなりません。

 

テナント物件の場合は、ビルの管理会社やオーナーに確認をしながら項目を埋めていきます。

 

内装工事を行う場合は、防火対象物工事等計画届出書も必要になります。

 

必要に応じて内装業者と相談して作成していきましょう。

 

防火対象物使用開始届と防火対象物工事等計画届の項目はかぶるところも多いので、どちらも必要な場合は、一緒に提出してしまいます。

 

 

 

防火管理講習

 

一定の要件を満たす建物の所有者や賃借人には、防火管理者の選任が義務付けられております。

 

防火管理者は、消防計画を作成して管轄の消防署に届け出なければなりません。

 

以後は、その消防計画に基づき、火気の使用・取扱いの監督や従業員への支持など、防火管理業務を実施していくことになります。

 

防火管理者が必要な防火対象物かどうかは、その防火対象物に出入りする、勤務する、居住する人の数=収容人数によってきまります、対象物の規模により、甲種と乙種に分かれます。そして、それぞれに甲種防火管理者と乙種防火管理者がおり、受けなければならない講習が異なります。

 

防火管理者の選任が必要かどうか、どの種類の防火管理者の選任が必要かは、防火対象物使用開始届出を消防署に提出する際に教えてもらえます。

 

例えば、病院やクリニックは特定防火対象物ですので、建物全体の収容人員が30人以上で建物全体の延べ面積が300u以上であれば甲種防火管理者が必要になりますが、テナントビルの場合、テナント部分の収容人員が30人未満であれば、乙種防火管理者でも可能ということになります。

 

収容人員は病院や診療所の場合、以下のそれぞれの項目の合計で算定します。

 

● 医師や看護師その他の従業者の数

 

● 病室内にある病床の数

 

● 待合室の床面積の合計を3uで割った数

 

 

 

防火管理者の要件は以下の通りです。

 

● 防火管理業務を適切に遂行することができる「管理的、監督的地位」にあること

 

● 防火管理上必要な「知識・技能」を有していること(防火管理講習修了者、学識経験者等)

 

「管理的、監督的地位」について

 

個人開業にあたって、院長先生が管理者になることがほとんどですが、防火管理者については、必ずしも院長先生がなる必要はありません。

 

クリニックの職員で、管理的地位にある方が、防火管理講習を受けることで、要件は満たされます。

 

その場合は、退職する可能性のない方を選ぶようにしましょう。

 

「知識・技能」を有していること

 

学識経験者とは、消防職員であった経験があったり、他の関連する講習を修了していたり、一級建築士の資格有するものであったり、とにかく診療所を開設する方にはなじみのないものですので、多くの場合、防火管理講習を受けることによって、「知識・技能」の要件をクリアすることになります。

 

防火管理講習

 

防火管理講習を受講するための方法は以下の通りです。

 

● 地域ごとの消防本部が行っている講習を受講する

 

● 一般財団法人日本防火・防災協会が行っている講習を受講する

 

どちらかを受講すればよいのですが、地域によって協会が講習を開催していないところがあります。

 

例えば、東京都では、東京消防庁が行っている講習しかありませんので、そちらに申請をすることになります。

 

防火管理講習の申請・受講・届出の流れ

 

@ 防火・防災管理講習受講申請書を各消防署・消防文書・消防出張所のいずれかに提出して申請する

 

A 講習会場に出向き受講。その場で修了証が交付される

 

B 講習終了者を防火管理者に選任し、防火防災管理者選任届出書を管轄の消防署へ届け出る

 

※講習の申請は、開催月の2か月前より可能です。

 

例えば、7月に行われる講習はすべて、5月1日から申請できます。

 

当月や翌月の講習については、わりとすぐに埋まってしまうことが多いので、すぐに講習を受けたいと思っても会場によってかなわないことがあります。

 

スケジューリングに注意しなければなりません。

 

※郵送申請できるかどうかは提出先ごとに異なるので連絡して確認します。

 

講習会場

 

東京消防庁消防技術試験講習場 (秋葉原)

 

立川都民防災教育センター (立川・高松駅)

 

本所都民防災教育センター (錦糸町)

 

消防計画

選任された防火管理者は、消防計画を作成して、管轄の消防署に、消防計画作成届出書を届け出なければなりません。