保険医療機関指定申請とは
診療所の開設を届出をしても、実質的には、クリニックの営業を開始できません。
検診や予防接種、自費診療等は可能ですが、保険診療ができないからです。
保険診療を行って診療報酬を受け取るためには、管轄の地方厚生局(東京都の場合、関東信越厚生局)に保険医療機関の指定申請をしなければなりません。
診療所開設届出のところでも説明させていただいた通り、保険利用期間指定申請においては、なんといってもスケジュールが大切です。
指定申請の締め切り日は、それぞれの都県を管轄する事務所によって異なります。
例えば、東京事務所の場合は、以下の通りです。
関東信越厚生局HPより
ご覧になっていただくとわかるとおり、毎月10日前後に設定されております。
そして、指定日については毎月1日です。
つまり、仮に1月1日から保険診療を開始したければ、12月9日までに指定申請書を提出しなければなりません。
仮に指定申請書の提出が12月10日になってしまった場合は、2月1日が指定日になりますので、大きなタイムロスが生まれてしまいます。
診療開始希望日を定めたら、開業しようとしている地域の厚生局事務所で締切日がいつなのかを必ず確認しましょう。
さらに言うと、保険医療機関指定申請に際し、診療所開設届の副本が必要になります。
診療所開設届の副本とは、診療所開設届出時に、2部提出した届出のうち、保健所の受付印の捺印がされて、実査時に返却されたものになります。
つまり、上の例でいえば、1月1日と開業日に設定したのであれば、12月9日に指定申請書の提出ができるように、診療所開設届出の手続きが間に合うようにスケジューリングをする必要があるということになります。
ここでは無床クリニックを前提にして保険医療機関指定申請の手続きについて解説していきます。
手続きの流れ
手続きの流れは以下の通りです。
@ 開業地管轄の厚生局事務所に保険医療機関の指定申請をする
A 指定が行われたら、厚生局から指定通知書が送付される
保険医療機関の指定申請をする
保険医療機関指定申請書と添付書類を管轄の厚生局事務所に提出します。
指定通知書の通知
厚生局は毎月25日前後に都道府県医療審議会へ諮問をし答申を受けます。
指定が行われれば、指定日の翌日以降に指定通知書が厚生局より届きます。
指定通知書には、医療機関コードが記載されています。
これを電子カルテに設定し国民健康保険連合会(国保連)と診療報酬支払基金に対してオンライン請求をしていくことになります。
必要書類
必要書類は以下の通りです。
@ 保険医療機関指定申請書
A 診療所開設届の副本
B 添付書類(フォーマットあり)
次の項目が記載されてあること
・保険医の氏名 (1)
・保険医の登録記号番号
・担当診療科名
・(1)に掲げる者以外の医師の数
C 社会保険及び労働保険への加入状況にかかる確認票
※各保険の強制適用事業所の場合
D 保険医療機関(在宅のみで診療を行う診療所)の指定申請に係る申立書
※在宅医療のみを実施する保険医療機関の場合のみ
社会保険及び労働保険への加入状況にかかる確認票
強制適用事業所とは、法律によって保険の加入が義務付けられている事業所のことを指します。
以下のとおりです。
【社会保険(厚生年金保険・健康保険)】
法人事業所あるいは常時5人以上労働者を雇っている個人事業所
【労働保険(労災保険・雇用保険)】
法人、個人事業所を問わず労働者を1人でも雇っている事業所