医療系サービスのみなし指定
保険医療機関に指定された医療機関は、介護保険法による医療系サービスの事業者として指定を受けたものとみなされます。
これをみなし指定と呼んでおります。
保険医療機関がみなし指定を受けて行うことのできる居宅サービスは以下の通りです。
● 居宅療養管理指導および介護予防居宅療養管理指導
● 訪問看護および介護予防訪問看護
● 訪問リハビリテーションおよび介護予防訪問リハビリテーション
● 短期入所療養介護および介護予防短期入所療養介護
※療養病床を有する病院または診療所に限る
訪問診療に関わりのサービスは、なんといっても居宅療養管理指導および介護予防居宅療養管理指導です。
それに次いでクリニックに所属する看護師が訪問看護および介護予防訪問看護を提供するいわゆるみなし訪看を提供しているクリニックもあります。
先に示したとおり、保険医療機関の指定を受けたクリニックであれば、特に届け出をせずに、これらのサービスを行うことができます。
ただし、訪問看護において加算を算定したい場合は、加算様式を届出なければなりませんのでご注意ください。
居宅療養管理指導やみなし訪看護については、訪問診療基礎知識の方で詳しく解説しているのでご参照ください。
身体障害者福祉法第15条の規定に基づく医師の指定
身体障碍者福祉法第15条の規定に基づく医師とは、いわゆる15条指定医といわれるものです。
15条指定医とは、簡単にいうと、身体障害者手帳の交付申請に必要な診断書を作成することができる医者のことです。
15条指定は、主として標榜する診療科によって、作成できる障害の診断書が異なります。
例えば、眼科医は視覚障害の診断書を作成できますが、じん臓機能障害の診断書は書けません。
さて、訪問診療においては、肢体不自由の診断書作成が多い印象です。
肢体不自由というと、整形外科医やリハビリテーション科医しか書けないと思われがちですが、肢体不自由に関する臨床経験が認められれば、内科の先生でも肢体不自由の診断書が作成できる15条指定医になることができます。
ちなみに障害年金の診断書については、特に指定を得る必要はないので、何科の先生がどのような障害の診断書を作成してもかまいません。
身体障害者手帳の診断書よりも、年金の診断書を作成する機会の方が多い印象ですが、15条指定医の申請もしておいた損はありません。
ここでは、15条指定医の申請手続きについて解説していきます。
※以下は、東京都における申請手続きになります。
手続きの流れ
@ 必要書類を市区町村役場に提出する
A 市区町村から知事に書類が提出され、社会福祉審議会の諮問を経て、知事が指定を決定する。
B 指定がなされると知事から指定書が送付される
※郵送提出ができるかは所轄の市区町村役場によって異なりますので問い合わせが必要です。
※医療機関の所在地を管轄する市区町村はこちら。
必要書類提出期限と指定日について
15条指定医の指定申請の場合、1年度に4回しか申請のチャンスがありません。
例えば、令和4年度の新規指定の日程は以下の通りです。
@ 提出期限:令和4年4月1日 指定日:令和4年7月1日
A 提出期限:令和4年7月1日 指定日:令和4年10月1日
B 提出期限:令和5年10月7日 指定日:令和5年1月1日
C 提出期限:令和5年1月6日 指定日令和5年4月1日
早く指定申請をとりたいのであれば、3か月に1度のチャンスを逃さないようにしましょう。
必要書類
● 指定申請書(様式1)
● 同意書(様式2)
● 経歴書(様式3)
● 医師免許証の写し
その他
更新申請について
15条指定医に有効期間の定めはありません。
更新を受けなければ効力を失います。
変更申請について
医療機関・医師の氏名や所在地の変更があった場合は変更届の提出が必要になります。
複数申請について
一度に複数の担当科目を申請することも可能です。
つまり、ぼうこう直腸障害と肢体不自由のどちらの診断書も作成できるように申請するということですね。
その際は、申請書の担当科目欄に複数の科目を記載します。書く必要書類をもう1部作成する必要はありません。
ただし、主として標榜する診療科名が内科ではあるけれど、専門領域が消化器内科の先生が、肢体不自由について申請したとしても、社会福祉審議会において肢体不自由に関連する臨床経験が認められなければ指定を受けることはできません。
麻薬施用者(管理者)免許申請
訪問診療のターミナル(終末期)ケア、緩和ケアにおける鎮痛においてオピオイド製剤の使用はほぼ必須です。
オピオイドは、「麻薬性鎮痛薬」を呼ばれますが、厳密にいうとオピオイド=麻薬ではありません。
ただし、モルヒネやフェンタニル、オキシコドンといったオピオイド製剤は、麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として指定されており、疾病の治療の目的で、業務上麻薬を施用したり、麻薬を記載した処方せんを交付するためには、都道府県知事から「麻薬施用者」の免許を受けなければなりません。
また、麻薬施用者が2人以上いるクリニックに関しては、別途「麻薬管理者」を1人を置かなければならず、やはり都道府県知事から「麻薬管理者」の免許を受けなければなりません。
ここでは、麻薬施用者及び麻薬管理者の免許申請について解説していきます。
手続きの流れ
@ 必要書類を東京都福祉保健局に提出する
A 都道府県知事から免許が交付される
※免許が必要になる日の1か月から2週間前までに申請する
※必要書類の提出は窓口持参か郵送。免許証の受理を郵送で希望する場合、レターパックプラスを窓口に持参するか郵送するときに同封する。レターパックライトでは不可
提出先
東京都福祉保健局
健康安全部薬務課薬事免許担当
必要書類
● 麻薬施用者免許申請書あるいは麻薬管理者免許申請書
● 医師免許のコピー
● 診断書
● 診療所開設届のコピー
※クリニックで初めて麻薬施用者及び麻薬管理者免許申請をする場合
手数料
4,600円/件
その他
継続申請について
麻薬施用者(管理者)免許の有効期間は、免許の日からその日の属する年の翌々年の12月31日までです。
例えば、令和4年4月1日に免許が交付されたとしたら、令和6年12月31日までが有効期間です。
東京都の場合、有効期間が満了する年の7-8月ごろに継続申請の手続きの案内が届くので、申請書に麻薬取扱者免許番号などを記載して継続申請の手続きをします。
年間届けについて
麻薬施用者及び麻薬管理者は、その管理下にあるクリニックにおいて、所有・譲渡・施用・使用・調剤・譲受した麻薬の品名や数量などについて年間届を作成して届け出をしなければなりません。
対象期間は、毎年10月1日〜9月31日までです。
提出期限は、10月1日〜11月30日まで。
窓口持参か郵送で提出します。
提出先
163−8001
新宿区西新宿2−8−1
東京都福祉保険局 健康安全部 薬務課薬事免許担当