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労働基準監督署への届出

(労働)保険関係成立届

 

労働保険とは、雇用保険と労災保険のことを合わせて指します。

 

雇用保険とは、労働者が失業したときに失業等給付を行うための制度です。

 

労災保険とは、業務が原因となるけがや病気、業務災害による死亡、通勤災害に対して、国が事業所に代わって給付を行う制度です。

 

適用条件は以下の通りです。

 

● 雇用保険

 

・1週間の所定労働時間が20時間以上

 

・31日以上の雇用見込みがある人を雇い入れた

 

● 労災保険

 

・労働者を1人でも雇用する事業所

 

雇用保険の適用に関してはいくつか条件がありますが、労災保険に関しては正社員かパート・アルバイトかを問わず、1人でも労働者を雇い入れた事業所は必ず適用事業所になります。

 

つまり、クリニックで労働者を1人でも雇用した場合は必ず労働保険の適用事業所になるということです。

 

そして保険関係成立届とは、そのように労働保険の適用事業所に義務付けられた届出ということになります。

 

保険関係成立届は、事業によって「一元適用事業」と「二元適用事業」に分かれ、どちらかによって保険料の申告納付の流れが異なりますが、その違いについては、ここではさほど重要ではないので、割愛します。

 

クリニックの事業は「一元適用事業」であり、一元適用事業としての申告納付を行えばいい、とだけ覚えておけば十分だと思います。

 

さて、保険関係成立届は労働基準監督署へ提出をしますが、労働基準監督署への提出書類はそれだけではありません。

 

ここでは労働基準監督署へ提出する労務関係届出について解説していきます。

 

労働基準監督署への届出書類

 

クリニック開設時に必要になるあるいは必要になる可能性のある労働基準監督署への届出書類は以下の通りです。

 

● 保険関係成立届

 

● 概算保険料申告書

 

● 36協定

 

● 適用事業報告

 

一つずつ解説していきます。

 

【保険関係成立届】

 

冒頭で説明した通り、労働保険の適用事業所が届け出なければならない書類です。

 

【概算保険料申告書】

 

概算保険料とは、その年度の保険料をとりあえず計算して、先に申告納付をする時の保険料です。

 

計算は以下の通りです。

 

●労災保険

 

保険関係成立日からその年の年度末までに支払う賃金総額の見込み額 × 労災保険料率

 

●雇用保険 ※適用になる職員のみ

 

保険関係成立日からその年の年度末までに支払う賃金総額の見込み額 × 雇用保険料率

 

※令和4年度では10月1日から雇用保険料率が変わるので注意が必要です。

 

とにかく、労働保険料は、先に納付が必要で、そのために見込まれる保険料の概算を申告する必要があるので、概算保険料申告書の作成と提出が必要になるということを覚えておけばよいと思います。

 

【36協定届】

 

36協定(サブロク協定)という言葉をどこかで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

36協定とは、労働基準法第36条に規定規定される正式名称「時間外労働・休日労働に関する協定」のことで、とても簡単に言うと、従業員に残業をさせるために必用な労使協定です。

 

この協定を締結してその届出を出さずに残業をさせたたりすれば、労働基準法違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されますので注意が必要です。

 

協定は届出を出した日から効力を発揮しますので、協定締結日から○○日以内という期限はありませんが、できる限り早く届出を出す方がよいでしょう。
労働者を雇い入れるのであれば、36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)は、ほぼ必ず提出しなければいけないものだと思った方がよいと思います。

 

ちなみに協定締結の要件は以下の通りです。

 

・労働者の過半数で組織される労働組合もしくは、労働者の過半数を代表する者(管理監督者を除く)との間で結ぶ

 

といういことで、開業時に従業員が1人であればその従業員が過半数代表者となります。

 

36協定の主な記載事項は以下の通りです。

 

● 時間外労働・休日労働をさせる必要のある具体的な事由

 

● 業務の種類

 

● 労働者数

 

● 延長できる労働時間

 

● 協定の有効期間

 

※有効期間は1年間が望ましいとされています。

 

【適用事業報告】

 

適用事業報告とは、労働者を雇い入れた=労働基準法の適用を受ける事業所になりましたという事実を、労働基準監督署長に報告するための書類です。

 

ということで1人でも職員を雇った場合に提出の義務が発生します。

 

提出の期限はありませんが、なるべく早く届け出るようにします。

 

公共職業安定所への届出

 

雇用保険適用事業所設置届

 

雇用保険適用事業所設置届は、採用した労働者が雇用保険の適用を受けるために必要となる書類です。

 

事業所が労働者を一人でも雇用すると、労働者を雇用保険に加入させる義務が生じます。

 

ただし、雇用保険に加入するには以下の通り要件があります。

 

@ 1週間の所定労働時間が20時間以上であること

 

A 継続して31日以上雇用される見込みのある者がいること

 

ということで、上記要件にあてはまらない労働者しか雇い入れていない場合は、雇用保険適用事業所設置届の提出は必要ありません。

 

例えば、週2日1日4時間のパート社員であれば何人雇おうが、その社員は雇用保険に加入できません。

 

反対に、常勤職員であれば一人でも雇い入れれば雇用保険の加入義務が発生しますので、届出が必要になります。

 

届出は、労働者を採用してから10日以内にしなくてはなりません。

 

ここでは、公共職業安定所への届出について解説していきます。

 

必要書類

 

● 雇用保険適用事業所設置届

 

● 雇用保険被保険者資格取得届

 

● 労働保険関係成立届の事業主控え

 

● 事業所の実在、事業の種類、事業開始年月日、事業経営の状況、他の社会保険の加入状況を証明することができる書類

 

● 労働者の雇用実態、賃金の支払いの状況等を証明できる書類

 

 

【雇用保険適用事業所設置届】

 

保険関係成立届を届け出た際に付与される「労働保険番号」の記載欄があります。

 

なので、労働保険関係成立届けを提出した後に、雇用保険適用事業所設置届を作成することになります。

 

 

【雇用保険被保険者資格取得届】

 

「雇用保険被保険者番号」の記載欄があります。

 

一度でも雇用保険に加入すると付与される番号ですので、該当する職員の方に、雇用被保険者証を持っているか確認し、そこに記載されている雇用保険被保険者番号を記載するか、その番号が記載された雇用保険被保険者証を添付します。

 

被保険者番号がわからない場合は、備考欄に、前職の会社名を記入すれば大丈夫です。

 

 

【事業所の実在、事業の種類、事業開始年月日、事業経営の状況、他の社会保険の加入状況を証明することができる書類】

 

〈法人の場合〉

 

・登記事項証明書(登記簿謄本)

 

※3ヶ月以内に発行されたもの

 

※事業所の所在地が登記されたものと異なる場合は、事業所の所在地が明記されている書類

 

→公共料金の請求書や賃貸借契約書

 

・事業活動の実態がわかるもの

 

→例えば、医療物品の請求書・領収書等

 

・源泉徴収簿

 

・税務書類(事業開始届や確定申告書等)

 

・労働者名簿、賃金台帳、出勤簿あるいはタイムカード

 

※雇用保険に加入する労働者のもの

 

・雇用契約書あるいは労働条件通知書

 

※パートタイマーや有期契約の労働者の場合

 

 

〈個人事業主の場合〉

 

・事業主の世帯全員の住民票

 

※3か月以内に発行されたもの

 

・事業活動の実態がわかるもの

 

→例えば、医療物品の請求書・領収書等

 

・税務書類(事業開始届や確定申告書等)

 

・源泉徴収簿

 

・労働者名簿、賃金台帳、出勤簿あるいはタイムカード

 

※雇用保険に加入する労働者のもの

 

・雇用契約書あるいは労働条件通知書

 

※パートタイマーや有期契約の労働者の場合

 

 

 

 

社会保険事務所への届出

健康保険・厚生年金保険 新規適用届

 

以下の条件に当てはまる場合、健康保険・厚生年金保険の新規適用届を社会保険事務所(年金事務所)に提出しなければなりません。

 

@ 法人で常時従業員を使用するもの

 

A 個人事業主で常時使用する従業員が5人以上いる事業所

 

B @Aに当てはまらない(強制適用とならない)事業所が健康保険・厚生年金の適用を受けようとするとき

 

法人で開業した場合、従業員5人以上で開業した場合は、新規適用届の提出が必要かどうか注意するようにしましょう。

 

ちなみに従業員に個人事業主は入りませんので、開業した先生本人は、人数に含まれません。

 

「常時使用する」とは

 

「常時使用する」とは、常勤職員あるいはフルタイムのパート職員を雇用しているということです。

 

常勤職員4人+アルバイト1人(週15時間程度の勤務)の雇用体制の場合、職員は5人いますが、常時雇用が4人なので適用対象外となります。

 

任意適用とは

 

強制適用の対象外の事業所でも、職員の過半数が社会保険加入に同意していれば任意適用の申請が可能です。

 

注意点としては、任意適用が許可されると、それに反対する職員も社会保険に加入しなければならないことです。

 

手続きの流れ

 

● 必要書類を実際に事業を行っている事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出する。

 

※提出は窓口に持参する他、郵送でも可能です。

 

※適用事業所となってから5日以内に提出します。

 

必要書類

 

● 新規適用届

 

● 被保険者資格取得届

 

● 健康保険 被扶養者(異動)届

 

※家族を被扶養者にするとき

 

● 保険料口座振替納付申出書

 

※保険料を口座振替によって納付するとき

 

● 任意適用申請書・同意書

 

※強制適用とならない事業所が適用を受けようとするとき

 

加えて、法人と個人事業主の場合で、それぞれ以下の書類の添付が必要です。

 

〈法人の場合〉

 

● 登記事項証明書(登記簿謄本)

 

※提出日からさかのぼって90日以内に交付された原本を提出

 

● 賃地借契約書のコピー

 

※事業所の所在地が登記上の所在地と異なる場合

 

● 法人番号指定通知書のコピー

 

※国税庁法人番号公表サイトの法人情報画面をプリントしたものでも可

 

 

〈個人事業主の場合〉

 

● 事業主の世帯全員の住民票

 

※提出日からさかのぼって90日以内に交付された原本を提出

 

● 代表者の公租公課の領収書

 

※原則1年分